ロックに生まれ変わる 2021年 春初頭
悪夢を久しぶりにみた。
ここまでの悪夢なんてやつを見るのは…かなり久しぶりだったから、鮮明に覚えている間にここに描き綴ろうとおもう。
僕は顔が似ているという理不尽な理由だけで某ロックバンドのベースをやることになった。VOCALの人が直々に指名までしてくるくらいだ。これは断れない。しかもツアーファイナルだ。
僕は光の速さで快諾した。
(少しはよく考えろ)
なんの迷いもなかった。
全てが上手くいくと思ってた。
だが、残念ながら僕はベースは弾けない。
ましてやあんなリズミカルなべーステップを踏めない。せいぜい踏めてカバディのステップだ。
でもVOCALは続けて僕に言う。
「大丈夫、問題はない、やればできる」
やればできる。そんな言葉を言われたのは中学生の学年主任だった尾形先生以来だ。おまえはやればできる、やればできるんだ、やろうとしないだけだ、そうだ、僕はやろうとしないだけで、ベースが引けるんだ、引けるに違いない、直々にオファーされるくらいだ、きっとハマ・オカモトよりもエモい音を奏でられる素質を持っているんだ、そうに違いない。
とりあえずそう思い込むことにした。
だが次はアレだ、曲が分からない。
微かなメロディラインすらもわからない。
むしろこのバンドの曲を聞いたことがあったのだろうか、、、、僕は恐る恐るVOCALに告げる。
「曲がわかりません、どうしたらいいですか?」
VOCALはクスッと鼻で笑いながら僕に告げる。
「大丈夫、キミならできるよ」
なになになになにカヲルくんですか??貴方は渚カヲルくんですか??無責任に「キミならできるよ」って言うのは渚カヲルくんくらいしか知らないんだけど、、、、爽やかにピアノ弾いてるけどあの人ただ天然で無責任なチルドレンなだけで気付いたらアタマグシャってなって退場するし握りつぶされるしそんな笑顔で言われてもこっちは困るんだが!!!!!
いや、でもVOCALが大丈夫って言ったんだ。
きっと僕には絶対音感みたいな、そんな音楽の神がきっと味方してくれるんだろう。大丈夫だ、1回聞けばできるんだよ、できるできる、そうだやればできるんだから、なんてったってやればできるんだから!!!
幕の袖でそう言い聞かせて、いよいよ入場の瞬間までやってきた。全くのど素人が幕張メッセに立つなんて誰が想像しただろうか。
前代未聞の炎上覚悟の上で 僕は舞台に上がる
いや、アーティストなんだ。
そう、ベースマンだ、この観客を魅了する、天才ベーシストなんだ。最後にそう心に強く言い聞かせた。そう、SAGA佐賀〜だ。
だが、、、、、
ここからはもうひどかった。
ベースの不協和音 オーディエンスの突き刺さる視線と空気感 飛び交う怒号 曲間のMCのVOCALの眼力と圧力 こんな怖いアイコンタクト人生でも送られたのは初のことだろう。
手がぶるぶる増える。
(エナジー切れだ…)
4曲目の終わりにはメンタルが崩壊しかけていた
もうここまでなのか 逃げ出してしまいたい
いっそ誰か トドメをさしてくれ…いや…
負けられない。ここまでやったんだ、、、どうせ、あとは怒られるなら精一杯やるんだ、そうだ、何事も否定的に諦めることしかできないそんな自分の愚かさに僕は涙した。泣いた、己の不甲斐なさに。そして決断する。
命をかけて魂でベースをかき鳴らすしかない。
ここら辺でプロフェッショナルとはのBGMが流れてきてもおかしくない。
もうそこからは覚えていない。ただがむしゃらにベースを引いた。ほとばしる汗、会場との熱気と高揚感、気分は最高潮、会場の歓声も今までバラバラだった楽器隊もやっとひとつになれた。よく見ると観客も涙している。音楽は素晴らしい。人を音楽で幸せにすることが出来る。アンコールも終わりクライマックス。
銀テープが宙をヒラヒラと舞う。
やりきったんだ。僕は。
そこで目が覚めた。よかった夢だったんだ。
布団から出て正気に返る。
パンイチだった。
どうやら身体までもがロックになっていたらしい。
おわり。
こんな夢もう見たくないわ:( ;´꒳`;):
それにしても夢のくせがつよつよのつよ。